Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

そのとき千之助は壁からはなれた。隣りの娘が、火鉢にかざしていた手を、袖口からふところへ入れたのである。その手は乳房の上へ置かれたようで、たぶん無心な動作だったろうが、覗いている千之助にとっては、見てはならないものを見たような、うしろめたい気分におそわれたのであった。

――男の来るのを待つことはない、当ってみよう。

男が来てからでは、却って事が面倒になるかもしれない、そう思ったので、千之助はおはなを手で招き、その耳へ口を寄せて、彼女にして貰う役割を教えた。

「わかったな」と彼は念を押した、「きっかけが大事だぞ、いいか」

「はい」とおはなは頷いた、「大丈夫やれると思います」

千之助は立ちあがった。

その部屋の出入り口は、隣り座敷と反対のほうにある。千之助はいちど外へ出、袖垣のところを踏石づたいに廻っていって、その座敷の格子をあけた。とっつきが三帖、衝立があって、すぐ左が座敷らしい。千之助は刀を右手に持ち、黙って静かに襖をあけ、立ったままで娘を見た。

「まあおそい……」と云いかけて、娘は口をつぐみ、不審そうに千之助を見た。

千之助は娘を見おろした。娘は本を持ったほうの手を膝におろし、静かな眼で千之助を見あげながら、「なにか御用ですか」