Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans
父はひどい盗汗をかくし、毎夜幾たびか咳の発作を起こすため、それだけの支度はどうしても必要なのであった。
おしのが着替えをしようとしていると、番頭の嘉助が、声をかけて、はいって来た。彼は三十七になり、四丁目の裏に家のあるかよい勤めで、妻とのあいだに子供が二人あった。九時半になると帰るのがきまりで、いつもは襖の外から挨拶だけしてゆくのだが、その夜は声をかけて、部屋の中へはいって来た。
「どうしたの」おしのは訝しげに訊いた。
「旦那のことなんですが」と嘉助は囁くように云った、「どうもいつもよりぐあいがお悪いようですから、もうおやすみになるように仰しゃって下さいませんか」
「どんなぐあいなの」
「ひどい熱なんでしょう、お顔が赤いし息苦しそうで、激しい咳こみが二度もございました」と嘉助は云った、「おやすみになるようにといくらおすすめしても、おまえこそもう帰れと仰しゃるばかりで」
おしのは頷いた、「いいわ、あたしがいってみるから、嘉助さんはもう帰ってちょうだい」
「今夜はもう少し残ることにします」
「いいえ、却ってお父つぁんが気をもむから、いつもどおりにしたほうがいいわ」