Classiques japonais avec furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans
ところで、不審なのは其許と千浪殿、不自由な足をひきずり、また女子の身で、虚無僧姿の旅とは、どうした次第でござる」
山陰晴の試合場では、終生の恨みをのんで別れた敵ながら、今ここで、親しくその人物に直面してみると、謙譲にして威容、しかも武士道的な襟度、床しむべき真の大剣客であった。
「アア吾、この人に及ばなかったこと当然である」
深く衝たれた重蔵は、密かに、この人にして初めてあの精妙剣がある筈と頷いた。そして、今は何の疑念も抱かず、玄蕃を仇敵と狙う経緯、千浪の身の上など、詳しく打ち明けたのであった。とくと聞き終った自斎は、自分も、老師富田先生を尋ねる旅先で、玄蕃の姿を見かけた時は、きっと引ッ捕えるか、あるいは、何らかの手段をとって知らせようと誓った。そして、
「ご舎弟の新九郎殿が、一日も早く、拙者の剣前に勇ましい姿をお見せなさる日を待っている。お会いになったら、そうお伝え下さい」
と最後に云った。
間もなく、三人の姿は、袖をつらねて、碓氷の峠を降ってきた。途中松井田で、自斎は尋ねる剣友があるからとて別れを告げ、千浪と重蔵とは、再び世を忍ぶ天蓋の下、一管の尺八に、流転を託す虚無僧となりすまし、玄蕃の足蹟に気をくばりながら中仙道の宿駅を次いで、江戸の朱引内へ近づいて行く。