Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans

Aozora Bunko

三

「ええ、何もかも分っておりまする。お前様の心では、ここで死ぬのが花とも本望ともお思いなさるか知らぬけれど、捨て残されるこの光子はどうなるのでござりますえ。……新九郎様、二人の仲はそんな約束でありましたか」

御方はまた例の執拗にして粘り強い恋の糸を繰り出して、新九郎の意志をも身をも巻き悩ます。そして、男はいつもその魅惑に弱かった。

「今となって、松平家の為に命を捨てたところで、お前様の汚名が失せ、立派な武士道が立つ訳でもござりますまい。それはほんの、千浪とやらいう女子と兄上への申し訳、世間の義理に縛られて死ぬに過ぎませぬわいの。オオ阿呆らしい、人は知らずこの光子は、新九郎様をそんなことで死なすことではござりませぬ。さ、妾と共にすぐこの屋敷を逃げて下さいませ」

「え、ここを遁れ出せと?」

「元より、お前様が武士道を捨て世間を捨てる代りに、妾も栄耀や屋敷を振り捨てて、どこぞの片田舎に隠れて楽しく暮らす約束ではござりませぬか」

「オオ、そりゃたしかに約束もした……武士を捨てようとも言った。……だが、いかに新九郎が未練者でも、今となって何でそんなことができるものか」