Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 197 228 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

手入れの見えない草や木の間に、黒い棟と板葺の屋根と壁と――同じような家ばかりが幾つも見えた。

これでも岡崎としては五十石がらみの侍が住む組長屋だった。以て日頃の窮乏ぶりが分るのである。強右衛門は、その一つの、形ばかりな門のくぐりを押した。覚えのあるわが家の窓がすぐ眼につく。その窓から、嬰児の泣き声がしていた。表の戸は締まっている。強右衛門はそこを叩こうとはしない――凝然と、耳をすましていたが、やがて側の低い竹垣を跨いで、草のなかを足音をしのばせながら、横の方へまわって行った。

雨だれに苔さびている石がある。それに足をのせると、ちょうど窓へ頭だけ届いた。彼は竹の櫺子のあいだから、そっと半分ほど、窓の戸を開けた。

家の中が見えた。貧しい家の中が。

嬰児の声は、近々と、耳を打つ。その父が、ここに来ていることを無心な者へ、虫が知らせているように。

息をのんで、彼は、窓の外にしがみついていた。じっと、家の中を覗いていた。

わが家である。

――おい、女房。

と、一声かければ、すぐ飛んで来て、戸も開けよう、手を取って、迎え上げもしよう。けれどこの身はいま、自分のものでない。