Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 197 228 caractères · 394 écrans
彼の旅舎は、もと足利義昭のいた二条の館を改築して宛てていた。日々、公卿、武人、茶家、文雅の輩、浪華、堺などの商賈の者まで、訪問客は市をなした。
京都が彼を引きとめるのか、彼が京都を去りがてに思うのか、もう時雨する日は寒々と冬めいている。
「あすは晴れよう」
厩の衆は、空を見ながら、馬に飼い糧を喰い込ませていた。そこここの侍部屋でも、旅装に忙しい。晴雨にかかわらずあすは岐阜へ下向と、今し方、信長の側近から達しがあった。
光秀は、主君とわかれて、ここから丹波の領地へ帰る予定である。――で、明るいうちにと、自分の宿舎からいま暇乞いのためここへ来た。
長い厩の棟を、遠く見ながら、廻廊をめぐり歩いて奥の館へ渡りかけると、
「やあ。惟任か」
と、破顔して、自分のまえに立ちどまった者がある。
「おう、筑前か」
光秀も、笑顔で迎えた。
「どうだ」
秀吉は、両手をのばして、光秀の肩を寄せた。光秀はにやにやしながら、
「どうでもない。あすはお立ちじゃ」
「そうだ、あすはお立ち。――お互いに、また会う日は、何処やら?」
「酔うておられるな」
「都にいる間は、酔わぬ日とてない。殿もまた、御上洛中は、日ごとに御酒の量が上がってゆく。