Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 197 228 caractères · 394 écrans
と、彼方へ立ち去った。
見送っていると、街道すじの民家から、弟子僧らしいのが二人、師の影を見ると、あわててあとを追って行った。
堀尾茂助ひとりを連れて、秀吉は戦場のような工事場のほうへ足をすすめていた。彼は、この築城には加役程度で、責任のある役は割り当てられていなかったので、度々、早船で来てはまた長浜へ帰っていた。
「羽柴どの、羽柴どの」
呼ぶ声がする。――見ると、蘭丸がきれいな歯並を唇もとに笑みこぼしながら、駈け寄って来た。
「やあ。於蘭どのか。殿には、どこにおられますか」
「今朝から天守でおさしずでしたが、今し方、お退りあって、桑実寺で御休息中です」
「では、それへ参ろう」
「羽柴どの。いま彼方で、あなたと親しげに語っていた僧は、安国寺恵瓊とか申す人相をよく観るひとではありませんか」
蘭丸は、何かそれに、興味をもっているらしい口吻でたずねた。
「左様。たれやらにも、そんなはなしを聞いたことがあるが、観相などというものは、中るやら、中らぬものやら」
秀吉は大して興もない顔していう。――しかし、蘭丸の性格と君側にあるその位置には、充分な認識をもっている彼のこととて、わざと、掴みどころなくしているのかもしれなかった。