Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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えどげいじゅつろん

江戸芸術論

永井 荷風

Lisez 江戸芸術論 (えどげいじゅつろん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 130 caractères · 167 écrans

Aozora Bunko

これら無数の諷刺画中最も奇抜なるものは大抵国芳狂斎二家の筆にして芳虎芳年芳幾らこれにつげり。余は今日の新聞紙雑誌等に見るポンチ画に比すれば、浮世絵師が滑稽頓智の妙と観察の機敏なるに驚かずんばあらず。

浮世絵は此の如く漸次社会的事変の報道となり遂に明治五年芳幾が一枚絵には明かに『東京日日新聞』の名称を付するに至りぬ。然れども浮世絵従来の美人並に役者絵も決して杜絶したるには非ず。国周は専ら役者狂言の図を描き二代目の国貞(梅蝶楼と号す)は美人と『田舎源氏』とを描けり。余は猩々狂斎の背景に二代目国貞が新柳二橋の美人を描きたる一枚絵に時として佳き者あるを見たり。維新当時は国事多端にして政府はなほ市井の風俗を顧る遑なかりしかば画工は憚る処なく女湯の内部または『田舎源氏』の遊戯に見立てて御殿女中の裸体雪合戦を描く事を得たり。然れども須臾にして国内平定するや政府大に教育の道を講じ俳優芸人にも教導職の名を与ふるに及び、浮世絵師もまたその品位を高めんと欲し錦絵に歴史の画題を取りぬ。この風潮を代表するものは即ち月岡芳年にして、余は劇壇における団十郎と浮世絵における芳年とを以て好一対の芸術家となさんとす。