Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lisez 浅草風土記 (あさくさふどき) de 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 294 caractères · 318 écrans
吉見屋というのは、おなじ広小路でも、浅倉屋、長崎屋とは反対の側の、すなわち南側の田原町、しかも、ずッと、本願寺のほうに寄った位置にあった、精進料理専門の仕出屋だった。だから、ここのことについてはあとで書く。それよりも、“浅倉屋の露地”についてのぼくの記述には、まだすこしあとがあるのである。
“出羽作の隣は、西川勝之輔という踊りの師匠で、外からのぞくと、眼尻の下った、禿げ上った額の、先代円右に似たその師匠が、色の黒い、角張った顔の細君に地を弾かせ、「女太夫」だの、「山帰り」だの、「おそめ」だのを、「そら、一ィ、二ゥ、三ィ……ぐるりとまわって……あんよを上げて……」と、小さい子供たちに、いつも熱心に稽古していた。――それに並んで、地面もちの、吉田さんといううちの、門をもった静かな塀が、そのあと、ずッと、露地の出外れまでつづいていた。――子供ごころに、いまに自分も、こうした構えのうちに住みたいと、そこを通る毎に、つねにわたしは空想した。商人のうちに生れたわたしたちにとって、門のある住居ほど心をそそるものはなかった。”
この踊りの師匠に、七八つの時分、わが家の妹もかよった。