Classiques japonais avec furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lisez 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 016 caractères · 284 écrans
ある時大水が出て二人の子の姿が見えなくなり、母はそれを悲しんで死んで鳥となった。今でも夏の夜が来ると、毎晩暗い中からヨシトクと呼ぶのは、その母親のなった鳥であるという(川野正雄君、『小豆島民俗誌』)。
都会の地に住む人々は、今ではもう闇夜や黄昏時の淋しさを理解せぬと同時に、人を喚ぶという声を聞く事が稀になったが、以前の生活にはそれが通例であり、また最も大切な耳の働きでもあった。そうして宵暁のいたって静かな時刻に、村里近くまで啼きあるく鳥の言葉は、妙にこの人を喚ぶ声と、間拍子が似ておったらしいのである。それが恐らくは我々をして耳を傾けしめ、何か簡単なる日本語を、その中から聴き出し得るように、思わせた一つの原因でもあろうが、まだそれだけでは親を尋ねる子、もしくは子を失って悲しむ親の話の、かように流布する理由を説明し難いのである。もっとも土地によって必ずしも親子の関係とも限っていない。例えば『遠野物語』においては長者の娘、男が山へ行って還って来ぬのを慕うて、化して鳥になってオットーン、オットーンと啼きあるくという口碑を載せ、薄暮に深山の中でこの声を聴くと、限りもない哀愁を催すと記している。