Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

しかし、調査はそのまま続けられたが、結局収穫は次の二つにすぎなかった。その一つは、密陀僧(即ち酸化鉛)の大壜に開栓した形跡があるのと、もう一つは、再度死者の秘密が現われた事だった。と云うのは、危く看過そうとするところだったが、奥まった空瓶の横腹に、算哲博士の筆蹟で次の一文が認められている事だった。

ディグスビイ所在を仄めかすも、遂に指示する事なくこの世を去れり――

要するに、算哲が求めていたものと云うのは、何かの薬物であろう。しかし、それが何であるかということよりかも、法水の興味は、むしろこの際、なんらの意義もないと思われる空瓶の方に惹かれていって、それに限りない神秘感を覚えるのだった。それは、荒涼たる時間の詩であろう。この内容のない硝子器が、絶えず何ものかを期待しながらも、空しく数十年を過してしまって、しかも未だもって充されようとはしないのだ。つまり、算哲とディグスビイとの間に、なんとなく相闘うようなものがあるかに感ぜられるのだった。また、酸化鉛のような製膏剤に働いていった犯人の意志も、この場合謎とするよりほかにないのだった。いずれにしても以上の二つからは、事件の隠顕両面に触れる重大な暗示をうけたのであったが、法水等三人は、それを将来に残して、薬物室を去らねばならなかった。