Classiques japonais avec furigana
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したやそうわ
下谷叢話
永井 荷風
Lisez 下谷叢話 (したやそうわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 122 971 caractères · 246 écrans
静軒は安政三年に東海道を遊歴して京摂に留ること半年ばかり。詩集『肩瓦嚢』を刻した。安政六年には新潟に遊び滞在すること数月、『新斥繁昌記』の著がある。江戸に還って後また四方に出遊し居所常に定まらず、晩年に至り武州大里郡吉見村冑山の豪農根岸氏の三余堂に寓すること一年あまり、慶応四年三月二十四日に没した。享年七十三。一男一女があった。男は殤し、女は吉見村の根岸氏に嫁した。著書には既に記したものの他に『静軒一家言』二巻。『痴談』二巻がある。静軒は此の如く阨窮流離の一生を送ったが、異腹の兄の零落するを見てはこれを扶助し、友人の子孫の淪落するものにもまたその獲る所の金を分ち与えたという。静軒は滑稽諧謔の才あるに任せ動もすれば好んで淫猥の文字を弄んだが、しかしその論文には学識頗洽博なるを知らしむるもの鮮からず、またその詩賦には風韻極めて誦すべきものが多い。
この年九月、横山湖山が九段坂下俎橋に家を遷した。『火後憶得詩』を見るに、湖山は去年乙巳の八月に麹町平川町に卜居し、この年丙午の三月に至って某処の谷町に移り更にまた俎橋に転居したのである。
十月に結城弘経寺の梅痴上人が紫の袈裟を賜り飯沼なる寿亀山弘経寺の住職に任ぜられた。