Classiques japonais avec furigana
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したやそうわ
下谷叢話
永井 荷風
Lisez 下谷叢話 (したやそうわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 122 971 caractères · 246 écrans
第十四
」という題語を見てほぼその日を知った。新居の縁先には梅の樹があったと見えて枕山は「当門寧著五株柳。沿砌聊存一樹梅。把古人詩差自慰。茅檐猶勝竟無家。」〔門ニ当リテ寧ロ五株ノ柳ヲ著カン/砌ニ沿ヒテ聊カ一樹ノ梅ヲ存ス/古人ノ詩ヲ把リテ差シク自ラ慰ム/茅檐猶竟ニ家無キニ勝ル〕と言っている。この新居は五年の後嘉永二年に至って新築せられた三枚橋の考詩閣とは別の家であるらしい。
天保十五年は十二月二日に弘化と改められた。
第十四
弘化二年乙巳の歳枕山は御徒町の新居に二十八歳の春を迎えた。この年の作には独棲の不便なるを歎じた作が二、三首に及んでいる。「春夜不寐。」〔春夜寐ネズ〕と題した長句の中には「独臥空床展転頻。帳影如烟闃無人。紅袖娯夜非我分。青灯長伴苦吟身。」〔独臥空床展転スルコト頻リナリ/帳影烟ノ如ク闃カニシテ人無シ/紅袖娯夜ハ我ガ分ニ非ズ/青灯長ク伴フ苦吟ノ身ニ〕と言い、「秋夜書懐」〔秋夜懐ヒヲ書ス〕の作には「薪水偏愁良僕少。杯盤最怕雑賓多。」〔薪水偏ニ愁フ良僕ノ少キヲ/杯盤最モ怕ル雑賓ノ多キヲ〕と言っている。独身の家に良僕を得ざると雑賓の多きとは洵に忍びがたきものである。