Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 229 caractères · 389 écrans

Aozora Bunko

「もうそんなことは言わないでおくれ。だけど、ほんとうにそう思われてもしかたがない。だが、もうもうこれからは、けっしてお前をはなしはしないよ」

江戸から泊りを重ねて、もう日光までは眼と鼻のあいだ。ここまで来るあいだに、旅はことさらに人を近しくするもの。いわんや、血の通う母と娘である。

お美夜ちゃんも、もうスッカリお蓮様に親しんで、脚絆、草鞋がけのかあいい足を引きずりながら、

「ねえ母ちゃん、もうじき日光なの?」

「ええええ、あとほんのすこしのしんぼうですよ」

と、お関所へさしかかったときである。

「待てッ」

横あいから、グッと棒がつき出て立ちはだかった一人の侍、

「姓名住所は、何も聞かんでよろしい。ただひとこと――お前たちは、母娘であろうナ?」

七

以前のお蓮様なら、眉ひとつ動かさず、

「無礼をすると容赦はいたしませぬぞ」

ぐらい、ちょいと威猛高なところを見せたはずだが。

今は、名もない旅の女。

「ハイ」

と、口のうちに答えつつ、手ばやく裾を引きさげ、そこへしゃがみこみながら、

「お美夜や、コレ! 立っていてはいけません。お侍様に失礼があっては……」

と手を引っぱってすわらせようとするのも、できるだけ下手に出て、早くこの関所を通してもらいたいという、矢のような心があればこそ。