Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans
六
「いい、いいよ、枝ぶりもいい」喜兵衛は花をみつめたままで云った、「子供のころが思いだされてくる、ああ、なつかしい」
父の眼尻から、涙があふれ落ちるのをみつけ、おしのはすり寄って、手拭でそっと拭いてやった。
六
喜兵衛は話した。――彼は川崎在の農家で育った。いまでは兄が家を継ぎ、村でもかなりな田地持ちになっているが、彼の育つころはまだ半分小作で、生活もかなり苦しかった。そんなことはどっちでもいいが、家のうしろに小さな丘があり、その丘を越したところに、竹藪に囲まれて小さな池があった。藪の中にも山椿の若木が幾本か伸びていたが、池畔にある古木はその太い根の一部を池に浸し、枝も池の上まで伸ばしてい、花期になると、落ちた花で、池の水が見えなくなるくらいであった。
「眼をつむると、いまでもそのけしきがありありと見える」と喜兵衛は云った、「私は子供のじぶん、親に叱られるとか、友達と喧嘩をしたあととか、悲しい、たよりないような気持になるとかすると、よく独りでその池の側へいって、ぼんやりと時をすごしたものだ」
ほかの季節は知らない、記憶に残っているのは椿の咲いているときのことだけである。