Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans
おしのはなにか訊くことがあるように思った。この人は頼りになる、この人なら本当のことがわかる、なにか訊いておかなければならない大事なことがある。そういう気持を強く感じたが、現実にはなにを訊いたらいいかわからず、おしのは礼を云って別れを告げた。
「ひどいわ、ひどいわおっ母さん」駕籠をいそがせて帰る途中、おしのは声に出して呟いた、「お父つぁんの病気が重いと知っていながら、そんな人と平気で箱根へゆくなんて」
おしのは自分の手をひらいて、眼に近づけて見た。駕籠の垂れから、僅かにさしこむ残照のほの明りで、自分の指がふるえているのをおしのは見た。
――菊太郎は寮へ引取られた。
二十八日にいったとき、やっぱり奥の部屋に菊太郎が隠れていたのだ。三味線と唄の声、母はあたしを騙した。あたしがゆくまで、母は菊太郎と二人で、暢気に雪見酒でもしていたのであろう。そしてあたしが帰ったあと、二人はまた飲みながら相談をし、箱根へゆくことにきめたのだ。おしのはひらいた手をぎゅっと握り緊め、眼をつむって、祈るように口の中で云った。
「おっ母さん、帰ってちょうだい、もしこのままお父つぁんに死なれたら、いくらおっ母さんだって世間に顔向けができないじゃないの、お願いよおっ母さん、どうかまにあうように帰って来てちょうだい」