Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

「あの人は買物にゆきました」

おそのは振り返って「おや」と眼を細くした、「おしのちゃんじゃないの、あんた来ていたの、じゃあちょっと手を貸して」

男はひょろひょろと脇へどき、おしのは母の合羽を脱がせてやった。

「この人ね」おそのは男のほうへ手を振って云った、「播磨屋のお弟子で菊太郎というの、菊ちゃん、これいつか話したあたしの娘のおしのよ」

「今晩は」と菊太郎はおじぎをして云った、「中村菊太郎でございます、どうぞよろしく」

おしのはぞっとした。おじぎをするそのしなも、鼻にかかった甘ったるい作り声も、背骨の縮むほど不潔でいやらしかった。さあ飲み直しをしよう、おそのはそう云い、菊太郎の手を取って、奥の六帖へはいった。――おしのは云われるままに、炬燵へ火を入れ、酒の支度をした。酒は燗徳利に一本しかなかったが、おそのは冷のまま湯呑に注いで、菊太郎と二人で水を呷るように飲んだ。

やがておまさが帰って来、酒と肴を注文するように命じたが、母と菊太郎のそんなありさまを、おまさに見られてはならないとおしのは思った。むろんおまさは知っているであろうが、自分のいるところでおまさに見られるのは、自分まであさましく汚されるように感じたのである。