Classiques japonais avec furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans
誓いを果たせッ、いざ約束の試合を致せッ」
「むむ面白い――」
自斎は泰然と頷きを見せ、
「技と技の試合では興味もないが、御身の一心勝つか、儂の鍛錬が勝つかの試合――いかにも望みを容れて立合ってやろう。じゃが――鐘巻自斎、剣をとっては何ものにも微塵も仮借いたさぬぞよ」
「云わでものこと、多言は無用じゃ」
「むッ。では――」
「やッ」
双龍は床を衝って左右に分れた。
自斎のとって中段に構えた木太刀は、反の凄い二尺八、九寸、新九郎は常に手馴れの木剣を小野派下段の型どおりに構え、ジリ……ジリと精根を柄にしぼって、ここ、乾坤一擲、真剣以上の捨身でつめ寄る。
彼は鍛錬悟入の域に澄んだ水月の名太刀。これは、ただ一念一心に燃ゆる焔の火剣である。人の最念力が彼を破るか、剣の練妙がこれを破るか、心ある者が心して観れば、この試合こそ、またとない意味深いものである。それかあらぬか、小野忠雄は息をのんでこの様子をり、代師範の梶新左衛門もまた吾を忘れてしまった態。
が、そのほかの者の目には、ただ奇異なる対照が映るばかり、試合と同時に鳴りこそしずめているが、肚では、新九郎の余りに己れを知らぬ振舞を憎み、覚束ない初太刀の構えを嗤っている。