Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans

Aozora Bunko

五

して、妾にお訊き遊ばしたいとは?」

「他でもない、御方の素性を打ち明けて欲しゅうござる。この新九郎には菖蒲の寮のお暮しと云い、またお前様の振舞と云い、何とも腑に落ちぬことばかりじゃ」

「何かと思えばおやすいお訊ねじゃ。したが新九郎様、妾の素性や菖蒲の寮の内幕を知った上で、お身様は卑怯に逃げて行くようなことはござりますまいの? ……」

御方の蘭瞼は剣のような鋭さで、その時じっと新九郎の顔を射て来た。

「拙者も武士じゃ、お前様の秘密を知った上で、裏切るようなことはきっと致さぬ」

彼も昂然とそう云わない訳には行かなかった。

五

御方は満足らしく頷いて、言葉しずか、息薫しい京訛りで、自分の生立ちを物語りだした。恐らく奇しき今の境遇は、幕府要路の者の他、世間でも余り知る者はあるまい――と自ら前措きをしておいて。

小袖に着けてある公卿紋の雪頂笹が示すとおり御方の生家は、京都の堂上冷泉中納言家の分家で、俗に下冷泉と云われる太夫為俊卿であった。

彼女は下冷泉家の息女第一の姉姫で、実の名は光子の御方、その妹姫は三つ違いで通子と云った。共に艶色絶世で、今出川北御門の桂よ橘よともたたえられていた。