Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans

Aozora Bunko

ベッドを抜け出て、スリッパをはいて室の隅へ行き、そこにもたせてあった太いステッキをとってきて椅子にかける。

痛快だ! (ステッキの柄を抜いて、中から卓の上へ青木邸で盗んできた指環と頸飾りと布製のおかめの面とを出しながら)痛快だ! なるほど俺はたしかに泥棒に相違ない。だが俺の行為は道徳的に悪い行為なのだろうか? (卓子の抽斗からピストルを出して)俺はこの通り、ピストルをもっている。だがこのピストルには実弾のこめてあったことはない。俺は世間の強盗のように人の命をとったことはもとより、人を傷つけたことも一度もない。盗みはするが、盗まれて困るような人のものを盗んだことがない。ありあまる者の不要の品を盗むのだ。世間の泥棒と反対に俺は現金を盗んだことがない。俺の盗むものは宝石と貴金属に限られている。こういう品物は世の中になくてもすむものだ。いやむしろない方がよいのだ。

頸飾りと指環とを手にとって見ながら、

これをいつものところへもって行って金にかえる。そして貧しい者にわけてやる。その喜ぶ顔を見るのが俺にとっては無上の楽しみだ。俺は盗んだ金を一厘だって私したことがない。