Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

久木直二郎はなにかを読んだ。水のように平静な、無感動な秀之進のぜんたいからなにものかを読みとった。「えいっ」かれははじめて第一声を放ち、なお数尺ほど間隔を縮めた。肉の厚い、逞しい胸郭が大きくふくらみ、手足の筋肉に発条のような力の溢れてくるのがうかがえる。――やるぞ。見ていた三人はそう直感した。そしてその刹那に、えいと絶叫しながら久木直二郎は打を入れた。間隔からいうと空打とみえる、つぎの変化を窺う空打にみえるが、実際はそれが必殺の打だった。おどろくべき技で瞬速に間合を征服しつつ、しかも徹骨の一刀をうち込んだのである。きらっと刃が光った。秀之進の躯がぐっと反り、爪立ちになったとみると、久木直二郎は毬のように身を縮め、波うち際のほうへ二三間ほども跳躍しながら、「勝負あった」と高く叫んでいた。

「やるなあ、讃州」久木はふりかえって刀を横にしながら叫んだ、「だが勝負はおれの勝だぞ、胸をみろ、衿前へ切尖が届いた筈だ」

「……まさに」

秀之進は見もせずに頷いた。寄せて来た波が久木の足を洗った。それほどもかれは水際へ跳んでいたのだ。さっと脛を波にひたされたかれは、さっぱりと敵意の消えた顔で秀之進のそばへ戻って来た。