Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 285 caractères · 330 écrans
と告げた。
「追い返してしまえ」と七十郎はどなった。けれども、若い家士の困惑したようすを見ると、思い直したように頷いた。
「よし、おれが会おう、客間へとおしておけ」
若い家士はいそぎ足に、玄関へ戻っていった。
甲斐が案内されたとき、病間では医者が、新左衛門の脈をみていた。下座のほうに、家扶の鷺坂靱負がいて、甲斐に挨拶をし、甲斐のために席をはらった。甲斐はそこで診察の終るのを待った。
その座敷は書院造りの十帖で、床ノ間には書の軸が掛けてあり、香炉から煙があがっていた。窓も襖も閉めきったままで、病人の躰臭がこもっているため、必要以上に香をいているらしく、座敷いっぱいがむせるほど匂っていた。――医者が診察を終ると、新左衛門が「どのくらいもつか」と、ひどくかすれた声で、喘ぎながら訊いた。
「いや、正直に云ってもらいたい、あとどのくらいです、今夜が越せますか」
「まだお脈は、しっかりしております」と医者が云った、「御病状がゆだんのならぬ点は事実ですが、お訊ねのようなことにお答えはできません」
「それほどさし迫っているというわけか」
「私は正直に申しております」と医者は云った、「私は昨日、御病状が重大であると申しました、いまでも好転したとは申上げませんが、昨日の御容態より危険が多くなったとは思われません、このお脈のしっかりして