Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
「でも、町内のお医者の石原全竜様が、さいしょ石見銀山の毒死に違いないといいながら、御検屍のときは、お刺身かお酢の物の中毒だろうといったそうで」
「そんな馬鹿なことがあるものか」
八五郎は横合いから口を挟みました。
「石原様が、板倉屋からお金を貰って、よい加減なことを申上げたに違いないと、御近所の衆も申します」
「そいつは幇間医者の大藪医者だろう」
八五郎はまたいきり立ちます。坊主頭に黄八丈の袷、黒縮緬の羽織に短いのを一本きめて、読めそうもない漢文の傷寒論を懐ろにし、幇間と仲人を渡世にしている医者は、その頃の江戸には少なくなかったのです。
「黙っていろよ、八、――ところで、人を殺そうとするほどの大それたことは、洒落や冗談ではできることではない。板倉屋の主人とお前の父親を殺して、得をする者の心当りはないのか」
平次は静かに訊ねました。
「――――」
お萩は首をかしげました。が、娘心には、そんな恐ろしい企らみのある顔が映りそうもありません。
「お前にはわかるまいよ、――俺が出る幕にはまだ早い。八五郎をやって、一応調べさして見よう」
「――――」
お萩は不足そうでしたが、それでもさすがに、口には出しません。