Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

二

奉公人たちも早寝をして、今朝はいつも早起きの甲子松が、雨戸を開けて庭を覗くと、――主人が崖下の裏庭に転げていたんだそうで。前掛で顔を被って、崖の中腹に建立してあった、地蔵様を抱いて、――」

番頭の勘三郎は金杉の竹松に代って、八五郎に説明してくれました。三十五六のこれはなかなかの好い男で、道楽強そうですが、ハキハキした口調から察すると、なかなかの働き者でもありそうです。

二

八五郎が、明神下の平次のところへ、この報告を持って来たのは、その日の夕方でした。

「石地蔵と心中は、神武以来でしょう。五十男の巴屋山三郎が、何んの物好きで――」

「待ってくれよ、八。山三郎は女房持ちだと言ったな」

平次は問いを挟みました。

「お滝という五十前後だが、こいつは良い内儀ですよ。山三郎は入婿ですが、内儀の若い時は、上り下りの客が、巴屋で休んで、お滝さんの顔を見なきゃ、気が済まなかったと言われたくらいで、尤も、その娘のお絹は十八で、こいつは、母親に立ちまさったきりょうですよ。これも娘一人の跡取りだが、まだ婿もきまっていないそうで、身上のためには、その方が良いかも知れませんね。お蔭で巴屋は繁昌するばかり」