Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
二
「沢屋には女房もあるだろう、それは何うしたんだ」
「気の毒なことに、沢屋の女房は三年前に死んで、残るのは、主人の三郎兵衛と、倅の大三郎と、娘のお琴だけ、あとは奉公人ばかりですが、主人の難儀は眼に見えていても、誰も口を利く者もない」
八五郎の話は、日向の縁側に腰を卸して、蜿蜒とつづきます。日本橋に逆立ちする娘の話がこんなにまでもつづくのです。明神様から遅れた桜の花が落ちて、うらうらとして、どこかで鴬も啼きます。
二
「その御難場へ飛び出して、留め役を買って出たのは、沢屋の一人娘、日本橋小町と言われた、お琴だとしたらどんなもので」
八五郎は話題が綺麗な娘になると、急に元気づいて威勢が良くなります。
「それがどうしたんだ」
「そんなに金が欲しくなってもない者に出せるわけはない。せめて暮とか、盆まで待ったら何んとかなるだろう。証文の表が、今月で期限が来るなら、せめてその日まで待ってくれ、もしその日にも払えなかったら、この私が、ちょっとでも日本橋の欄干の上を、鯱鉾立ちをした上に渡って見せようじゃないか、と言いも言ったり、売り言葉に買い言葉で、今さらどうも仕様がなかったのです」