Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
銭形平次捕物控
一
一
「親分、たまらねえ事があるんで、これから日本橋まで出かけますよ、いっしょに行って見ちゃ何うです」
巳の刻近い、真昼の日を浴びて、八五郎はお座敷を覗いて顎を撫でるのです。四月のある日、坐っていると、ツイ居睡りに誘われるような、美しい日和です。桜は散ったが苗売の声は響かず、この上もなく江戸はのんびりしておりました。
「頼むから日蔭にならないでおくれ、貧乏人の日なたぼっこだ、――ところでお前は日本橋まで何をしに行くんだ、気のきいた晒し物でも出たのかえ」
銭形平次は気のない顔を振り向けました。時鳥にも鰹にもないが、逝く春を惜しむ、江戸の風物は何んとなくうっとりします。
「冗談じゃありません、生臭坊主や心中の片割れを見に行きゃしません、今日の午の刻に、日本橋の上に、神武以来の珍しい見世物があるんですぜ」
「神武以来は大きいな、尤もお前に言わせると、隣の猫の子が、三毛を産んでも、江戸開府以来だ」
「そんな下らない話じゃありませんよ、通り一丁目の沢屋三郎兵衛の娘のお琴が、今日と言う日の真昼に、逆立ちをして日本橋を渡ると言うので、高札場の前から、蔵屋敷の前へ湧き立つような騒ぎですよ、中には弁当持参で橋詰に頑張って、暗い内から動かないのもあります」