Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
「いや、よくはないんだよ、あの晩兵二郎はどこで暮したかそれが大事な事なんだ。お前と兵二郎はただの仲じゃあるめえ――隠すな、みんな知ってるよ、――それ位のことをお前」
と言った八五郎の調子です。
「では一本だけ付き合ってくれるわねえ、八さん」
お種はそう言った調子でした。
「そう飲んではいられないのさ、話を早く埒あけないじゃ」
と言いながらも、ついいける口です、八五郎は盃を受けました。差しつ差されつ、たった十九のお種がこんなにいけるとは、八五郎も思いがけなかったことです。
「酒でも飲まなくちゃ、ね、八さん、注いでおくれよ。私はあの前の晩つくづく捨てられたと知ったのさ」
「なんだと?」
「畜生ッ、あの晩という日、兵二郎は来ないわけがあったのさ」
「――――」
「兵二郎は身体が立派で、力も知恵もあったよ、間がよくば、御家人の株ぐらいは買う気で、信州から出て来たというじゃないか、――それが叶わないと知ると、江戸中の金持の後家をあさったんだよ。世の中には弁口と男前で、それを出世の蔓にしている野郎はあるものだよ」
「お前と兵二郎の仲は、そんな仲じゃあるめえ」
「三年前、私はまだ十六の時、兵二郎は私を口説いたんだよ。