Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
「そう来なくちゃ面白くない」
八五郎はすっかり悦に入って、揉手などをして居ります。
山谷から三輪に通ずる八丁の土手は、諸大名に命じて築かせた荒川の水除けで、これを日本堤と言ったのには、いろいろの江戸人らしい伝説や付会があります。
土手の両側は一段低い町家で、土手の上には、葭簾張りや粗末な板屋根の、遊客目当ての茶屋が断続し乍ら続いて居ります。明暦大火後の吉原が、日本橋から此処へ引越したばかりで、まだ徳川末期の『大吉原時代』の栄華はなく、何となく粗野な淋しい道でもありました。
「曲者が髷を切って逃げ出したとしたら、何処へ行くだろう。闇の夜を選ってやるにしても、振り返って曲者の姿が見えないというのは変じゃないか」
平次は四方の景色を眺め乍ら、土手の上で腕などを拱くのです。
「土手の外へ転げ込むより外に工夫はありませんが、道傍の柳は植えたばかりのヒョロヒョロで人間を一人隠せそうもないし、所々にある茶屋は、夜っぴて商いをして居るか、宵だけで仕舞って帰るにしても、葭簾張りの見通しだ。猫の子一匹だって首尾よく姿は隠せませんよ」
「そう言ったものかな」
平次は土手の両側を覗いたりして居ります。