Classiques japonais avec furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lisez 福翁自伝 (ふくおうじでん) de 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 912 caractères · 402 écrans
その帆前船に乗て太平海を渡るのであるから、それは/\毎日の暴風で、艀船が四艘あったが激浪の為めに二艘取られて仕舞うた。その時は私は艦長の家来であるから、艦長の為めに始終左右の用を弁じて居た。艦長は船の艫の方の部屋に居るので、或る日、朝起きていつもの通り用を弁じましょうと思て艫の部屋に行た、所がその部屋に弗が何百枚か何千枚か知れぬ程散乱して居る。如何したのかと思うと、前夜の大嵐で、袋に入れて押入の中に積上げてあった弗、定めし錠も卸してあったに違いないが、劇しい船の動揺で、弗の袋が戸を押破て外に散乱したものと見える。是れは大変な事と思て、直に引返して舳の方に居る公用方の吉岡勇平にその次第を告げると、同人も大に驚き、場所に駈付け、私も加勢してその弗を拾集めて袋に入れて元の通り戸棚に入れたことがあるが、元来船中にこんな事の起るその次第は、当時外国為替と云う事に就て一寸とも考えがないので、旅をすれば金が要る、金が要れば金を持て行くと云う極簡単な話で、何万弗だか知れない弗を、袋などに入れて艦長の部屋に蔵めて置たその金が、嵐の為めに溢れ出たと云うような奇談を生じたのである。