Classiques japonais avec furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans
「これですよ。日本唯一つという珍品は。円長寺の和尚が遺言をして、私に送り返して来たのです」
大田区雪ヶ谷の円長寺の住職が、同じ石器マニヤなので、一緒に多摩川べりへ発掘に行った。珍品を掘り当てて喜んでいると、村民たちが集まって来て、形勢すこぶるおだやかでない。すると和尚が割ってはいり、
「これは尊い仏さまじゃ。お前さんたちの手を触れるものでない。わしが持って帰って有難いお経をあげてやる」
うまうまと、横合いから、さらってしまったという、いわれの品だ。
もう一つ、水蔭氏の相撲マニヤは、これは、いうだけ野暮なこと。庭のまんなかに土俵を築いて、
「ええ、毎日やるんです。夕方になると、町の常連が、学生も職人も集まってきます。横浜へ汽船がはいると、大ぜいかたまって他流試合に来たりします」
「そういうのは強いでしょうね」
「ですから、最初に代稽古を出します。腕前を見た上で、私が出ます」
「代稽古が、みんな、やられたら?」
「そういう時は、私は出ない。腹が急に痛くなったり、風邪を引いたり。講談にある昔の道場と同じですな。はッはッはッ」
のちに、平凡社の大衆文学全集で、四千何百円かの印税がはいると、町の若い衆に、揃いのユカタを作り、土俵を新しく築き直して、盛大な素人角力大会を催し、一生一度の大収入を煙の如く費い果してしまった。