Classiques japonais avec furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans
盛岡の芸妓
ある。
私が卒業して東京へ出ると、あとを追うように啄木も上京した。そして二度目の交際がはじまった。彼は歌は作るが俳句は駄目。こっちは俳句に没頭して、歌を相手にしないから、芸術論などたたかわせた覚えはないが、それでも可なり交渉があった証拠には、啄木の書いた手紙が二十四通たまっていた。今では十二、三通しか残っていないが、その中の一通に借金の詫び状がある。啄木が病んで郷里の渋民村に帰る時、三円だか五円だかを貸した時のである。字も立派だし、表装して保存しているが、今となっては、私のあらゆる骨董品よりも尊いものになってしまった。
盛岡の芸妓
このごろの芸妓というものが、どういう具合に変ったか、私は全然知らない。年をとると無精になるし、宴会などというものは、大分、以前から一切おことわりしているからである。
だが六十年前の私は、一度は二頭立ての馬車にのって、芸妓買いをしてやろうと、修羅の妄執に燃えていた。それも東京の芸妓ではない。郷里盛岡の芸妓という芸妓を、総あげにしなければ、胸のつかえが、取れないような気持でいた。
私の生れは、岩手県といっても、県庁のある盛岡市から、汽車で五つ目の日詰で下りて、それからさらに一里半の北上川の対岸である。