Classiques japonais avec furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans
寄席
頬骨のとんがった昼ぎつねのような顔だった。
「よしてくれ」
私は、てのひらで押し戻した。郷里での私の常識によれば、女性とは、腕力には、ノータッチのはずであった。だが、この女は、押しのけた私の腕を逆に掴んで、武者ぶりついて来ようとした。
私は、びっくりして横っとびに逃げ出した。とたんに下駄を踏みちがえて、ガクンとなった拍子に、溝の中へ落ちた。
おはぐろ色のどぶどろの中へ、ふくらはぎまで突っこんだまま、私は、つくづく東京の女はこわいと思った。
寄席
吉原だの、十二階下だのは、一ぺんで閉口してしまったが、芝居と寄席は、いつまでも続いた。
円朝は、口惜しいことに聞いていない。円朝の死んだのは、明治三十三年だから、わずかのことで、かけ違って「円朝はうまかったなあ」という溜め息だけが残っていた。
たった今、お銚子がからっぽになったところへ、顔を出した酒客のようなもので、いっそう、残念さが身にしみたが、円朝四天王の円馬、円生、円橘、円喬。それに、円右、円左。鼻の円遊なんぞもいて、正に、百花爛漫であった。
なにしろ、東京中に、百六十何軒の寄席があった時代である。映画館も、現代式の漫才もなく、その代りに高座の名人が雲の如くいた。