Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans

Aozora Bunko

「……英国では、汽車旅行して、手荷物をあずけても、チッキなどというものはない。到着駅で、私の荷物はこれだ、といえば、黙って渡してくれる。チッキを信じるのでなくて、人間を信用する。さすがに先進国であって、日本は、はるかに及ばない……」

みんな、神妙にきいていた。

すると、突然、大きな声を出した者がある。

「その説には絶対反対だッ」

見ると、東条英教中将である。

「何が反対ですか」

博士も、話の腰を折られてムッとした。

「田中館氏はチッキのない方が、高度の文明だと言われるが、人間には思い違いもあり、忘れることもある。書いたものを信用する方が、ずっと高級だ」

「いや、その考えは……」

「おかしいというのですか。では、人間は、何のために文字を発明し、紙を考案したのです? 野蛮人は口で約束し、文明人は契約書を作る」

「人間としての品性の問題ですぞ」

「だから、悪意はないとしても、人間には、過失や錯覚がある」

「それは、あなた方、軍人などは錯覚もあるだろうけれど……」

「何をッ、生意気な!」

売り言葉に買い言葉。いい年をした帝大教授と陸軍中将が、満座の中で、今にも、つかみ合いをはじめる形勢だ。