Classiques japonais avec furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lisez 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 016 caractères · 284 écrans
桝割草
これ等はもちろん児童の命名でなくて、あるいはただ単に花の色のくれないが、鄙に稀なることをめでてつけたのかも知れぬ。
桝割草
かやつり草は莎草などとも字に書いているが、どういう漢語が正しく当るかを知らない。一種なつかしい香があってこれを折取ると子供の日の記憶がよみがえって来る。茎が三角なので二人の児が申し合せて、前後ちがった側面から二つに裂くと、縁が繋がっていて四角な囲いが出来る。これを彼等は蚊帳を吊るといったのである。ちょうど初夏の、家では蚊帳を取出す頃なので、この名が印象深くきこえるのであるが、熊野ではこれをマスグサといっている。
広島県の東部でも桝草、播州にはまた桝割という名があり、山口県の瀬戸沿海でも桝割草といっている。割って桝の形になる草という意味で、桝が農家の児には親しみの多い器物であった以外に、我々にはなお二つのことが考えられる。一つは以前の大桝には対角に棒を張ったものが多くて、これが蚊帳よりも一段とこの草の割れ方に似ていたことである。今一つの事実は多くの子供は蚊帳を知らなかった。蚊をよける手段には蚊遣火は記録にも見えるが、蚊帳の今の形になって常民の家にも普及したのは、存外に近頃のことだったのである。