Classiques japonais avec furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lisez 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 016 caractères · 284 écrans
ところが滑稽な経験というのは、せっかく今年はよく附いたと思う梅モドキの実が、僅かな間にめっきり少なくなっている。ある朝早天にふと気がつくと、窓の外に何やらばさりばさりという音がする。それが鵯鳥どのの朝飯時であった。少し小休みしてはまた枝移りをして、脇目もふらずに貪り食っているのである。そうしていかにも悪いことをしたように、昼間は遠くへ行っていて影も見せない。鳥にはどうやら遠くへ出て食事をする習性のあるものがある。こういうのに出逢っては梅モドキもやはり客引きにはならない。
それでわかったのは、この近村の路傍の家に、この木の美しく実のったのに、破れ傘を覆うているのがあった。おかしな事をすると思ったが、こうしないと木は二朝か三朝で坊主になってしまうのであった。東京の町内の三十坪か五十坪の小庭に、栽えてこそ梅モドキは風情を愛し得られる。たまたま紛れ込んだ鳥があっても、きょときょとと人に畏れて窓を覗き、ほんの二粒か三粒かを取って食うと、ぴいと啼いて飛んで行ってしまうので、そういう処にまたこの木の面白味があったのだ。梅モドキは要するに市中の愛玩用で、こんな広々とした村の庭に植えて置いて、赤い実に日のあたる美しさを眺めよう、鳥も呼び寄せて楽しもうなどという、虫のよいことを考えたのが誤りだった。