Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
「あわてたんです。旦那が殺されているのを見ると、自分が殺そうとした事をすっかり忘れて、今漸く思い出したくらいですもの」
「親分、これは一体どうしたことでしょう」
ガラッ八も妙にこの少年が可哀相になったのでした。
「…………」
平次は黙り込んでしまいました。
時は過ぎ行きます。いつの間にやら夜が明けて、まだ閉めたままの雨戸の隙から、キラキラと朝の光が射し込んでくるのに、面喰らった奉公人達は、まだ雨戸を開けようともしません。
「八、雨戸をあけて、一服やってみようか、そんな事でもしたらまた新しい智恵が浮ぶかも知れない」
「…………」
行灯の灯で煙草を喫付けている平次を後ろに、ガラッ八は二三枚雨戸を繰りました。
サッと流れ込む朝の光。
「良い心持だな、八」
「親分、あれを見て下さいよ。大変なものがありますぜ」
「何」
八五郎の指す方を覗くと、戸袋の下に据えた大自然石の見事な手水鉢、その上に掛けた手拭に、水にぼけた血の痕らしいものが付いているではありませんか。
「昨夜は誰も死骸に手を掛けなかったはずだな」
「気味を悪がって、寄り付いた者もありませんよ。揃いも揃って薄情な奴らで」