Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

「平次殿ではないか――改まって、どんな用事だ」

主人の皆川半之丞、煙ったい顔に、薄笑いを浮べて来ました。蒼白い顔と、華奢な身体を見ると、両刀は手挟んでも、武芸などとは縁の遠い男に見えますが、その代り眼の鋭い、鼻の高い、細面の唇のよく締った、いかにも智恵と意志を思わせる顔立ちです。

浪人者といっても、まだ三十そこそこ、よく湯屋や往来で見かけて、目礼を交す顔ですが、鈍い行灯の灯に対して、平次は改めて自分の観察を整理しました。

「外じゃございませんが、一人弟子に取って頂きたい人間がございますが――」

「はて?」

「この野郎でございますよ。御存じでしょうか、八五郎というんで。世間並のような顔をしていますが、からっきし訳の解らねえ人間で、――こんな野郎でも、“子曰く”をちょっぴり教えて頂いたら少しは人間らしくなろうかと、こう思いましたんで、ヘエ――」

平次は後ろの方ですっかりむくれているガラッ八の顔を尻目に、こんな調子で頼み込むのでした。

「それは困るな、私は新しい弟子を取らないことにしているんだが」

「でも、ございましょうが――」

「今来ているのは、皆んな三年越しの弟子ばかり、引っ越して行く先々へ跟いて来るから、断るにも断り切れない」