Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

皆川半之丞はまったく困じ果てた様子です。

「そうおっしゃらずに同町内の誼、御面倒でもございましょうが、人一人目鼻を明けてやって下さい。なア、八、手前からもよくお願いをしな」

「ヘエ――」

八五郎は、モゾモゾと頸筋を掻きました。あまり、“子曰く”に気の乗る顔ではありません。

皆川半之丞は、再三再四断りましたが、平次はそれに押っ冠せて、根気よく、頼み込み、とうとう半刻(一時間)ほど経った頃、

「それでは、二三日来てみなさるがいい。最初から大学や孝経でもあるまいから、庭訓往来でもやりましょう」

皆川半之丞の方から折れてしまいました。

「こうなりゃ、何だって構やしません。庭訓往来なんてケチな事をいわずに、阿呆陀羅経でも何でもやっておくんなさい」

ガラッ八は、殺さば殺せといった調子でした。

「馬鹿野郎、阿呆陀羅経って、奴があるか、――こんな解らない野郎でございます、なにぶん宜しく願います」

平次は、一生懸命に頼み込んで、マゴマゴするガラッ八を促し、いずれ稽古は明日の晩から、ということにして引揚げました。

「驚いたぜ、親分」

外へ出ると、ガラッ八は精いっぱいの酸っぱい顔をして見せるのです。