Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

十分窺われるのだった。のみならず、弩にも箭にも、指紋はおろか指頭を触れた形跡さえなかったのであるが、その上、疑問はまず熊城の口から発せられて、自然発射説は最初から片影もなかったのである。何故なら、事件発生の直前には、その火術弩は箭を番えたまま、窓の方へ鏃を向けて掲っていたのだし、その操作は、女性でも強ち出来得ないこともないからであった。熊城はまず、当時半ば開いていた右側の鎧扉から、その壁面にかけて指で直線を引いた。

「法水君、高さはちょうど頃合だがね。しかし、鎧扉までの角度が、てんで二十五度以上も喰い違っている。もし、何かの原因で自然発射がされたとすれば、壁面と平行に、隅の騎馬装甲へ打衝らなきゃならんよ。きっと犯人は、踞んでこの弩を引いたに違いないんだ」

「だが、犯人は標的を射損じたのだ。それが僕には、何より不思議に思われるんだがね」と、爪を噛みながら法水は浮かぬ顔で呟いた。「第一、距離が近い。それに、この弩には標尺がある。その時クリヴォフは、背後を向けて椅子から首だけを出していたのだ。その後頭部を狙うのは、恐らくテルが、虫針で林檎を刺すより容易いだろうと思うが」