Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

そのあいだ検事と熊城は、さながら酔えるがごとき感動に包まれていた。が、ややあってから、熊城はおもむろに不明な点を訊ねた。

「しかし、礼拝堂で暗中に聞えたという二つの唸りには、伸子か旗太郎か――そのいずれかを、決定するものがあるように思われるんだが」

「それは、死点と焦点の如何――つまり、音響学の単純な問題にすぎないのさ。たぶんクリヴォフ夫人の位置が、伸子がペダルで出した唸りに対して、死点。旗太郎の弓が擦れ合って起った響には、あの微かな囁きさえも、聴き取れるという焦点だったに相違ないのだ。そして、夫人が伸子の方に寄ったところを、背後から刺し貫いたのだ。ねえ支倉君、これ以上論ずる問題はないと思うが、ただただ憐憫を覚えるのは、伸子に操られて鞠沓を履かせられ、具足まで着せられた暗愚な易介なんだよ」そう云ってから法水は、最初から順序を追い、伸子の行動を語りはじめた。勿論それによって、ピロカルピンの服用も、一場の悪狡い絵狂言であることが判明した。それから、語り終えると法水は言葉を改めて、いよいよ、黒死館殺人事件の核心をなす疑義中の疑義――どんなに考えてもとうてい窺知し得べくもなかった、伸子の殺人動機に触れた。