Classiques japonais avec furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 229 caractères · 389 écrans
いつのまにか、浅黄色の宵闇がしのびよっていた。こころきいた者の点じた蝋燭の灯が、大勢の影法師をユラユラと壁にもつれさせる。
皆の心がシーンとなると、とたんに、言いあわせたように胸に浮かんでくるのは、あの、自分らが誤って斬り殺し、それを焼け跡へ放置して、源三郎と見せかけた仲間の死骸。
かたわらにころがしておいたのは、名もない茶壺で、ほんとうのこけ猿の茶壺は、とうに峰丹波の手におさめ、本郷の屋敷に安置してある……。
と思うから、丹波は上機嫌だが、その壺が早くもあの門之丞によって盗み出され、又その門之丞が斬りたおされて、壺はすでに左膳のもとへ――。
その左膳の手へうつった壺もお藤姐御のために、通りすがりの屑屋へおはらいものになって。
今は?
どこにあるかわからない。
……とは、峰丹波、知らなかった。
計略が図に当たって、源三郎を罠へ落としこんだのみならず、何かと邪魔になる丹下左膳まで、飛んで火に入る夏の虫、自分から御丁寧にも、その穴へ飛びこんでくれたのだから、これこそほんとうに一網打尽である。
このうえは。
深夜までここにじっとしていて世間の寝しずまるのを待ち、一同で手早く、地面から地下へ通ずるあの三尺ほどの竪坑を埋めてしまえばいい。