Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

「いや、私はこのうちは知らないんだ、私は初めて来たんだから」

「そんならあの方だって初めてじゃありませんか、それとも旦那のほかに、こんなところで浮気をなさるような」

源次郎は手を振って遮った、「そうじゃない、そんなことじゃない、ただこのうちは馴染かどうかと訊いただけで、初めてなら初めてでいいんだよ」

「たんとお聞かせなさいまし、あたしいただくから」女中は膳の上から勝手に盃を取った、「憚りさま、お酌をして下さいな」

源次郎は浮かない顔で徳利を持った。

その家は日本橋ばくろ町の「伊賀正」といって、旅館と料理茶屋を兼ねていたが、その家を小伝馬町のほうへゆき、堀の手前を左へ曲ったところに、二階造りで藪蕎麦があった。――その二階の小部屋で、およねがおつるという女と話していた。五つになる女の子は、卵とじの丼をかかえ、しきりに汁をはねかしながら、蕎麦を喰べるのに熱中してい、年が明けると二歳になるという下の女の子は、母親に抱かれて乳を咥えていた。

ここへ来てからもう一刻ちかく経つ。おつるは絶えず眼を拭きながら、少し訛りのある言葉つきで、源次郎とのゆくたてを語り続けていた。