Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

とは別れてみせる、本当だ」

「あたしも御飯なんか炊けやしないわ」

「おりうさんにそんなことをさせるもんか」

「針も持てないし洗濯や掃除なんかもできやしないわ」女はあまえた声でゆっくりと云った、「おまけにあたし、たいへんなやきもちやきよ、もしかしてあたしがお師匠さんのおかみさんで、お師匠さんがほかの女とこんな逢曳きなんかしたら、あたし二人とも生かしてはおかないわ」

女は頭へ手をやり銀の平打の釵を抜き取ると、それを逆手に持って云った、「二人ともきっと殺してみせるわ、きっとよ」

「うれしいね、うれしい心意気だ」男はひからびたような声で笑い、眼にけものめいた色を湛えながら、上下の唇を舐めた、「おりうさんのような人にそれほど思いこまれれば本望だ、ああいいとも、もしそんなことがあったら殺して下さい、逃げも隠れもしませんから」

女は釵を持ち替え、その釵で左の手のひらを静かに打ちながら、「これでね」と囁くように云った。

男がつと立ちあがり、女が眼をあげた。

「手洗いにいって来ます」と男が云った、「ついでに酒のあとをね」

女は頷いた。

男は二階をおりて女中を呼び、なにやら囁いて手洗いにいった。