Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

「お勘定は済んでおります、おこころづけも頂戴いたしました」

男は歩きながらよろめき、片手に持っている折詰をぶらぶらさせた。

「これがお土産」と彼は呟いた、「――これはお師匠さんへといってお預かり、あけてみれば一両、へっ、到れり尽くせりか」

やけ酒でも飲んだらしい。おそらく、おりうという女に帰られたあと、独りでやけ酒を呷ったのだろう、前後左右へよろめきながら、口の中でぶつぶつ独り言を云った。

「おい、しっかりしろ」と彼は自分に云った、「おめえは痩せても枯れても岸沢蝶太夫だぞ、そうだろう、常磐津綱太夫の弟子では、小天狗といわれた、いまの綱太夫なんか、へっ、おれの履物を直したもんだ、ほんとだぜ」

黄昏のことで、街は人の往き来が多かった。家並の軒下はみるみる暗さが濃くなり、足早にゆき交う人たちをせきたてるかのように、夕餉の煮炊きの匂いが漂って来た。

「だが正直なところ、おれは唄より糸のほうが好きだった、うん、あの小式部師匠の糸を聞くと、骨身がぐたぐたになるような気持だったからな」彼は自分に頷いた、「――そうよ、浄瑠璃は唄じゃあねえ三味線だ、浄瑠璃を活かすも殺すも、三味線の撥さばきひとつに、かかってるんだ、いまの豊後大掾だなんていばっていたって、おれの撥のさばきのかげんでどうにでもなるんだ、それこそ客席のやじでうたえなく