Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

むささびの六の嘲笑するような声が、耳の奥のほうで聞えた。慥かに、彼も佐吉の取持ちで幾人かの女客と逢った。後家、人妻、娘。年増もあり若いのもあった。たいていは顔つきも思いだせないが、中には覚えている相手も二人や三人はあった。

「だが、それがどうした」と彼は眼をつむったままで記憶にある女を思いうかべながら、居直ったように呟いた、「――桝屋でわけのできた相手は、みんな向うから手を出したんだ、こっちは座敷を勤めただけなんだから、そんなこって因縁をつけられる筋はねえ、おどかすなってんだ」

その呟きには、言葉ほどの強さはなく、彼は眼をあいて起き直った。

「引越しだな」と彼は声に出して云った、「六のやつにうろうろされても迷惑だし、この町内にも長くいすぎた、気を変えるためにも引越すとしよう」

その翌日、蝶太夫は引越しをした。

彼はふところが苦しかった。その月の芝居では「松朝扇うつし絵」という、大切の所作事に出るだけで、前借りが溜っているため、給金も半分止めになっていたし、座敷の数も少なかった。おりうから貰った一両のうち、(これも溜っている)店賃に一分だけ入れ、家財道具のうちごく必要な物を残して、あとはきれいに売ってしまった。