Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans
その前に、じっと俯向いて聞いていた新九郎は、今に至っても、空んじているほど、その時の母の言葉が脳裡に深く彫り込まれた。
「剣難とは、そんなに怖ろしいものか、ああ私はそれで死ぬ相を持っているのかしら」
後になって、こう思いだしたのが、そもそも、彼が臆病者となった重因だった。
腰抜け武士、腑甲斐なし、何と罵倒されようが、その恐怖というものは、十九の歳までとれなかったけれど、それと共に、「剣難より怖ろしい女難」と誡しめられたことの方は、まだ異性に何らの考えもなかった年頃だったので、脳に沁みつかなかったか、まったく忘れて今日に至っている。菖蒲の寮の奥で、今こうして、自分の運命の奇しさに思い入りつつある現在の新九郎も、女難という方には、更にうッかりしているのだった。
「まア、よくよく性を失っておいで遊ばすと見える、ホホホホホホホホホ」
不意に嫋美かな笑いこぼれ。新九郎はハッとして振り顧ると、簀戸の向うに透いてみえた姿は、たびたび枕元へ来て、優しい言葉をかけられた寮の主の御方である。
「いつそこへお越しなされましたか、さあ、こなたへ」
新九郎は生真面目である。
「春日さま。