Classiques japonais avec furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lisez 剣難女難 (けんなんじょなん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 243 807 caractères · 482 écrans
と顔を見合せたが、
「とにかくここへお連れ申してもらいたい」
「畏まりました」
退き下がった小坊主が、間もなくそこへ一人の尼僧を案内して来た。綸子の頭巾、紗の衣、象牙のような手くびにかけた水晶の数珠、白粉気のない姿にも、露をたたえた白蓮の香があって、尼僧にしては余りに艶で余りに美し過ぎる。
「あっ――」
一目見た時、新九郎が思わず声を上ずらせる。千浪もびッくりして、
「オオ、あなた様は!」
と、姿に不意を衝たれてしまった。
「新九郎さま、およろこびに参りました」
蓮花の白弁をたたむが如く、衣をさばいて両手をついた人こそ、何という奇しき意外な発心、菖蒲の寮の御方ではないか。
「もう貴方様に、逢わぬがよいと心には誓いましたものの、今日をかぎりのお別れ、それに、ただ一ツ心にかかることもありまして……いえ、妾の煩悩ではありませぬ、おいとしい千浪さまの身をお願いに……新九郎さま、どうぞ昔のお誓いをかなえて上げて下さいませ」
「アア御方様!」千浪は思わず摺り寄って、
「そのために、このお姿を贄となされたのでござりますか。今さら何と申してよいやら、お詫びの言葉もござりませぬ」