Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 197 228 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

かくの如く、素裸同様、身ひとつ引っさげてここへ出向いて来もしたのだ。わからんか、筑前どのの友情が、われわれの信義が」

村重は返すことばも知らないのである。しばらく黙っていたが、やがて強いて抗弁した。

「友情だの、道義だのと、それは平和な日にだけ光のあることばではないか。いまはちがう、戦国だ、乱世だ。――謀らねば計られ、害さねば害される。箸を持つまも、斬るか斬られるかという険しい世間だ。きのうの味方もきょうは敵。敵とあれば、友であろうと、これを獄に投じるもやむを得ない。戦略だからな。まだ殺さぬだけが、慈悲といえよう」

「なるほど。それでおぬしの世のなかの観方も、戦いに対する日頃の考え方も、道義のほどもよく分った。……あわれむべき時勢の盲目、もう口を交わすのもいやになった。勝手に溺れてゆけ、亡んでしまえ」

「なに、盲目だと」

「そうだ! ……。いや、こうなっても、なお貴さまに対して、おれは微量ながら友情の温みを胸から捨てきれん。さいごに、もう一言教えてやる」

「何か、織田家のほうに、秘密な策略でもあるか」

「そんな利害の問題ではない。――おぬしは惜しい男かな。隠れもない武勇を天下に知られながら、この戦国によく生きる術を知らん。