Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

裏木戸寄りの涼み台の上に水死人を載せて、さすがに荒筵は遠慮したらしく、浴衣を掛けてあるのを取ると、痩せた中老人の死骸が、秋の陽の下に浅ましく曝されるのでした。

「これは?」

「板倉屋の主人ですよ」

色好みで金儲けの上手だといわれた、板倉屋万兵衛が、水死人になって、自分の家の数寄を凝らした庭の涼み台に、検屍の役人を待っているのです。

「首筋から肩へかけて、大変な傷があるじゃないか、――それも生きているうちに、鳶口のようなもので突かれた傷らしいな。肉がはぜて、ひどく血も出た様子だ」

平次は万兵衛の死体をていねいに調べております。商人らしく地味な紬の単衣を着て、帯はきちんと締めております。さすがに衣紋は崩れて、みぞおちのあたり、ひどく脹れているのが目立ちます。

「でも、溺れて死んだには違いありませんね。廻船問屋でもしているくらいで、泳ぎは自漫だったそうですが」

「これだけの傷を受けちゃ、少しぐらい水の心得があったところで、自由に泳げまいよ」

「ところで不思議なことがあるんですがね」

「何だ」

「死体の着ている単衣の袂から、こんなものが出て来たんです」

八五郎は懐中紙の間から、小型の黄楊の梳き櫛を一つ出して見せました。