Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
お前が居なきゃ、俺は手棒になるわけだ」
「まア、そう言うことにして置いて下さいよ。ともかく二日目から木戸銭を取らないばかりでなく、妙にチヤホヤして、明日からはどうぞ毎日来て下さいと、一と目千両のお夢などは、泣かぬばかりに頼むじゃありませんか」
「嫌なことだな。何んだって又、そんなに持てたんだ――急に顎なんか撫で廻したって、その上男っ振りが好くはなるまいな」
「好い男のせいもありますが、実に近頃チョイチョイ無気味なことがあるんですって」
「無気味なこと?」
「取立てて話すほどのことでもないが、ことによったら私は命を狙われて居るかも知れない――と一と目千両のお夢が言うんですからね」
「何んだえ、その一と目千両というのは。眇目が千両箱の夢でも見たと言うのか」
「驚いたなア、銭形の親分があれを知らないんですか。近頃江戸中の評判ですが」
「さては、何時の間にやら、俺は江戸っ児の人別を抜かれたかな」
「大した好い女ですよ。たった一と目見ても、千両の値打があるというんだから驚くでしょう」
「その女と半日一緒に居ると、大概の身上は潰れるわけだ」
「身上くらいは潰し度くなりますよ。瓜実顔で眼が大きくて、鼻筋が通って、口許が可愛らしくて、そりゃもう――」